Our Beijing correspondent happened to be in Lhasa as the riots broke out. Here is what he saw
「北京道を屑まみれに」―今回の記事のタイトルが、チベット3.14暴動の深層を象徴している。北京道とは、中国にあるのではない。ラサのメーンストリート、ポタラ宮とジョハン寺の前を通る道が、中国の首都の名前にされているのだ。これは、蒋介石が台湾を占領したときに台北の通りに中国本土の都市名を付けて回った故事を、思い出す。要は、中華帝国主義丸出しの態度が、ラサを始めチベット全土で蔓延しているのだ。チベット「自治区」の首長は、漢族である。ラサの商店は、ほとんど漢族と回族(中国土着のイスラム教徒)で占められている。そして、今回の暴動で襲われたのは、漢族と回族の商店であった。チベット族の商店が暴動が始まると防護のしるしを即座に表に出したのは、インフォーマルな反乱のネットワークがチベット人のうちであったことを、匂わせる。
反乱は、四川省や甘粛省にも広がっている。ここにもチベット人は住んでいる。というよりも、もともと清代に雍正帝がチベット分割裁定を行なうまでは、成都より西の高原地帯はぜんぶチベットであった。中国人が絶景だなどと言って観光名所に喧伝している高原の山紫水明の土地は、昔の漢人が知っていた風景ではない。
今年六月には、チョモランマを聖火リレーが通って、その後ラサに入る予定である。このイベントが待っているのに、ラサで戒厳令が出来るはずもない。よって、実際には人民解放軍が出動しているはずなのに、「警察が交通整理をしている」と言っている。五輪を控えて国際社会が恐ろしいようで、当局は異常におとなしい。しかし、しばらくおとなしくしていれば世界は中国を許容してくれるかと思ったら、見当違いであろう。現在欧米のマスコミは、二十年前の戒厳令をはるかに越えて注目している。
おそらく、北京はダライラマに譲歩せざるをえないところまで追い込まれるであろう。このまま頬かむりをしていると、各国政府が五輪をボイコットしなくても、選手が自発的にボイコットする輪が広がってしまうだろう。本記事やNYタイムズも指摘している通り、ダライラマと和解した方が北京にとっては中国の度量を世界に示すためにも、得策なのである。ダライラマは自治を望んでいるだけだし、その範囲も現在のチベット自治区(清代チベットの1/3でしかない)以上を望んでいない。長い目で見て、どちらが得であるか。北京は漢族を大挙してチベットに送り込んでチベットを漢化してしまうことを目論んでいるが、曹操の屯田制ではあるまいしもはや現代に通用する政策ではない。今回の暴動に見られたように、もしダライラマがいなくなっても、チベットではこのままではテロリズムが激化するばかりであるに違いない。