メイン

China アーカイブ

2008年03月07日

You have permission to think freely

China's prime minister lets a hundred flowers bloom. Well, ten

三月五日より、中国では全国人民代表大会(全人代)が開催されている。この席で温首相は、彼らしいリベラルな表明を全国の代表たちの前で披露している。温首相は、政府系の新華社通信に対して、政府に対してもっと自由な発言を促している。百花斉放のすすめである。
しかし、どこまで行くことができるか。かつての趙紫陽が叩き潰された、前例を見よ。たとえ政府へ一言申すべきことが一時的に許されたとしても、中国ではお上への批判はすぐに加熱する。少なくとも、お上は行き過ぎだとの印象を持つ。そうして、弾圧せざるをえない。温首相は地方を精力的に回って、内陸部の農民が悲惨な生活をしていることに気付いている。それで、己の富貴しか考えない拝金主義を制して人民本意の仁政を進めたいと、願っていることであろう。だが仁政は、自由な民主制とは違う。温首相が、リベラル路線を突き進んで趙紫陽の二の舞となる勇気 - 否、暴勇 - を示すかどうかは、限りなく怪しい。
中国の民を操縦するには、為政者は儲けるチャンスを彼らに与えて働かせ、他方で刑罰を用いて彼らに恐怖を与えなければならない。賞と罰を操ることによってのみ天下を統治できるという、始皇帝以来の原則はそう簡単に変えることはできないだろう。

2008年03月14日

The new colonialists

China's hunger for natural resources is causing more problems at home than abroad

今週のカバーストーリーはずいぶんと挑発的なタイトルだが、内容はもっと冷静である。
確かに、中国経済が資源を消費するスピードは戦慄的である。こちらの記事では、コンゴのカタンガ州で最近中国人の人口が急増していることを述べている。彼らは香港あるいは上海からやって来た、カタンガ州の銅を買い漁るビジネスパーソンたちである。ダフールではイスラム政府から石油を買って国際社会の顰蹙を買い、イランとヴェネズエラから石油を買ってアメリカを苛立たせ、スリランカ政府にも力を貸してかの政府のタミルゲリラ弾圧に弾みを付けさせている。市場経済 - デモクラシーの"Washington Consensus"が、国家資本主義 - 権威主義政治容認の"Beijing Consensus"に取って代わられる時代が、来るのであろうか?
しかし、記事は皮肉なトーンで、中国からの買い付けが途上国に金を落として、豊かさの増進によりかえって国際社会との協調にドライブを駆けている事態を、指摘している。建前の自由と人権だけ強圧的に押し付けて、実利を渡そうともしない先進国とは違った世界への貢献を、中国は現在遂行しているのかもしれない。自国の金融亡者どもを救済するために金利を下げてドルを下げっ放しにして、世界の貧しい人たちをインフレ地獄に落としている今のアメリカは、貧民の生活に貢献していると言う資格はない。陰陽一対の宇宙の原理にたとえるならば、正面から主義を通すアメリカは陽で、裏から実利を渡す中国は陰であろうか。陰陽が仲良く(?)喧嘩することは、世界の調和にとってかえって望ましいのかもしれない?
スピルバーグ氏の五輪スタッフ脱退事件が効いたのかどうか、中国はようやくダフール問題でも批判に頬かむりすることを改めた。しかし、中国の当局に取って最大かつ唯一のプライオリティーは自国の人民の生活安定であって、外国人の人権などは批判が高まってようやく渋々改める程度にしか考えていないことは、世界は認識しておいたほうがよいであろう。本記事もまた、中国当局をこれから最も揺さぶる力は内側から来るだろうと、指摘している。経済成長は、住民の忍耐の限度を超えるほどに公害をまき散らしている。こちらの記事では、広東省で賃金水準が上昇した結果、低賃金労働に依存した工場が大量に廃業している現状を、伝えている。経済の法則は、中国の汚れた工業をますます儲からない事業に転落させて行くであろう。
住民の反乱は、当局にとって最も恐ろしい。古来からの反乱の種は、三つある。一つは、餓え。一つは、学者。そしてもう一つは、宗教。当局は、まず民を餓えさせてないように配慮しなければならない(陳勝呉広の乱以来、民乱は必ず餓えが背景にある)。次に知識人にはことごとく当局のポストを与えて取り込み、加えて集団での批判運動は弾圧するのが吉である(天安門事件は、漢代の党錮の禁の弾圧と同一次元の治安政策である)。さらに、国家に取り込まれない宗教は、根絶やしにしなければならない(法輪功の弾圧は、やがて黄巾の乱に発展することを恐れたためであるに違いない)。中国当局が自国民を食わせるために世界で資源を買い漁り、かつ国内の人民が公害や不平等のために立ち上がることを最も恐れているのは、二千年前から続いている中華帝国の原則である。

2008年03月15日

Fire on the roof of the world

Our China correspondent sends an eyewitness report from Lhasa as Tibet’s simmering resentment boils over

本記事は、"TheEconomist"特派員からの緊急報告である。記事によれば、3.14暴動当時に許可を受けてラサに駐留していた、唯一の外国人特派員であったということである。
特派員の報告している暴動の報告から、非常に大規模なものであったことが分かる。チベットでは中国人の流入が加速しており、ラサの商店はどしどし彼らに占拠されている。そのうえ、本土の影響を受けて物価が急騰している。人民の怒りに火が点く条件は、揃っていた。
特派員の報告する限りにおいては、当局の反応は(見える限りでは)、不気味なまでにおとなしい。チベットにいる中国人は戒厳令の実施を望んでいるというが、当局はいまだに動かない。現在血の弾圧を行なえばオリンピックに傷が付くことを、当局は恐れているに違いない。しかし、すでに十分に傷付いていることを、中南海は認識しているべくもなかろう。
ダライラマの亡命先のインド政府ですら、中国との友好政策を取っている最中にチベットの反政府運動を煙たがっている現状がある。今回の暴動は、孤立無援の中で勃発した。しかし、これでチベット問題を中国当局がいかに解決するかを、今後世界の目は注目することになるだろう。弾圧以外に民族政策を知らないかの政府がより柔軟な解決策を打ち出せるかどうかは、大きな疑問符の付く未知数である。

2008年03月16日

Lhasa under siege

Our China correspondent sends an eyewitness report of the continuing crackdown in the Tibetan capital

"TheEconomist"ラサ特派員からの続報である。
現地では、チベット人と回族との緊張が高まっているようである。回族とは中国土着のイスラム教徒のことで、清代まで漢族と区別されていなかったのであるが、中共政府はこれを一民族として認定している。ラサにはこの回族も移住してして、回族のモスクの近辺で火の手が上がったことの復讐なのかどうか、チベット人への報復のうわさが市中に流れているという。
チベット当局は、月曜日までに暴動の首謀者に投降するべしと最後通告を出している。つまり、この暴動は計画的なものであったと当局はみなしているということだ。果たして、収束するであろうか。もし収束しなければ、北京はどうするであろうか。血の弾圧をすれば、EU諸国のうちから五輪ボイコットが出るかもしれない。これからの数ヶ月は、中南海の今後の国家戦略が見られることになるであろう。世界の世論を無視して、経済だけで世界制覇が出来ると思い上がるのか。それとも、国家解体のリスクを犯してでも、強圧的民族政策を修正することになるのであろうか。

2008年03月20日

Trashing the Beijing Road

Our Beijing correspondent happened to be in Lhasa as the riots broke out. Here is what he saw

「北京道を屑まみれに」―今回の記事のタイトルが、チベット3.14暴動の深層を象徴している。北京道とは、中国にあるのではない。ラサのメーンストリート、ポタラ宮とジョハン寺の前を通る道が、中国の首都の名前にされているのだ。これは、蒋介石が台湾を占領したときに台北の通りに中国本土の都市名を付けて回った故事を、思い出す。要は、中華帝国主義丸出しの態度が、ラサを始めチベット全土で蔓延しているのだ。チベット「自治区」の首長は、漢族である。ラサの商店は、ほとんど漢族と回族(中国土着のイスラム教徒)で占められている。そして、今回の暴動で襲われたのは、漢族と回族の商店であった。チベット族の商店が暴動が始まると防護のしるしを即座に表に出したのは、インフォーマルな反乱のネットワークがチベット人のうちであったことを、匂わせる。
反乱は、四川省や甘粛省にも広がっている。ここにもチベット人は住んでいる。というよりも、もともと清代に雍正帝がチベット分割裁定を行なうまでは、成都より西の高原地帯はぜんぶチベットであった。中国人が絶景だなどと言って観光名所に喧伝している高原の山紫水明の土地は、昔の漢人が知っていた風景ではない。
今年六月には、チョモランマを聖火リレーが通って、その後ラサに入る予定である。このイベントが待っているのに、ラサで戒厳令が出来るはずもない。よって、実際には人民解放軍が出動しているはずなのに、「警察が交通整理をしている」と言っている。五輪を控えて国際社会が恐ろしいようで、当局は異常におとなしい。しかし、しばらくおとなしくしていれば世界は中国を許容してくれるかと思ったら、見当違いであろう。現在欧米のマスコミは、二十年前の戒厳令をはるかに越えて注目している。
おそらく、北京はダライラマに譲歩せざるをえないところまで追い込まれるであろう。このまま頬かむりをしていると、各国政府が五輪をボイコットしなくても、選手が自発的にボイコットする輪が広がってしまうだろう。本記事やNYタイムズも指摘している通り、ダライラマと和解した方が北京にとっては中国の度量を世界に示すためにも、得策なのである。ダライラマは自治を望んでいるだけだし、その範囲も現在のチベット自治区(清代チベットの1/3でしかない)以上を望んでいない。長い目で見て、どちらが得であるか。北京は漢族を大挙してチベットに送り込んでチベットを漢化してしまうことを目論んでいるが、曹操の屯田制ではあるまいしもはや現代に通用する政策ではない。今回の暴動に見られたように、もしダライラマがいなくなっても、チベットではこのままではテロリズムが激化するばかりであるに違いない。

About China

ブログ「TheEconomist分析 - 耕稼陶漁のインテリジェンス」のカテゴリ「China」に投稿されたすべてのエントリーのアーカイブのページです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のカテゴリはAt A Glanceです。

次のカテゴリはFinance&Economicsです。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.36