The decoupling debate
As America's economy struggles to stay aloft, the developing world is learning to spread its wings
記事は、アメリカの景気悪化がアメリカ以外の経済に及ぼす影響が、近年ますます小さくなって来ていると主張している。すなわち、デカップリング論を後押しする。
As America's economy struggles to stay aloft, the developing world is learning to spread its wings
記事は、アメリカの景気悪化がアメリカ以外の経済に及ぼす影響が、近年ますます小さくなって来ていると主張している。すなわち、デカップリング論を後押しする。
More signs that America’s economy is in poor fettle
2月の雇用統計が予想をはるかに越えたマイナス値であったことで、アメリカ経済がリセッションに陥ろうとしている、いや既に陥っているという論議が新聞系サイトの経済記事で踊っている。3月18日に招集されるFRBで、おそらく0.5%、あるいは0.75%の利下げがあるだろうと、すでにマーケットは予想を立てている。
記事が書くように、当局があらゆる手立てを尽すことで、景気の後退は軽微なものになるかもしれない。連邦政府が打ち出した家計への税還付を含む1500億ドルの財政支出は、5月より具体的に金が回り始める。
現在起っている金融危機は、いわば急性アルコール中毒だろう。応急治療が必要で、そして応急治療が適確ならば命は永らえる。しかし、急性中毒の危機が去っても、慢性アルコール中毒の症状は終わっていない。インフレ調整後のアメリカ人の平均的な所得は、この十年でほとんど変わっていない。なのに、消費ブームが景気拡大を支えてきた。それは、住宅価格の上昇による資産効果と、金融テクノロジーの開発によって生まれた新商品が消費者金融を容易(またの名を、安易)にさせたおかげであった。今後アルコールが抜けて、アメリカ経済は健康体に戻るまでリハビリをしなければならないだろう。
クルーグマン教授は"Der Spiegel"への寄稿記事で、吹き荒れる景気後退が今年の大統領選で民主党に巨大な追い風となるだろうと、予測している。今年の有権者の関心はイラク問題から離れて、足元の景気に移ることになる。民主党候補は、労働者階層にこう問い掛ければよい。
"Are you better off now than you were eight years ago?"
― あなたは、8年前に比べてリッチになりましたか?
Try, try, trying again to solve the credit crunch
Meanwhile, the interbank rate needed to borrow euros for three months hit 4.6%, the highest level since January and more than half a percentage point above official euro-zone rates. That indicated banks still preferred to hold cash rather than lend it.
― 一方、3ヶ月間ユーロを借りる際のインターバンク金利は、4.6%に達した。これは一月以来のレベルであって、ユーロ圏の公式レートよりも0.5%以上高い。これは、銀行がいまだに貸付よりも現金保有を選好していることを示している。
FRBの国債貸付スキームの導入によって、3月11日のダウは劇的に上昇した。しかし勢いは続かず、昨日12日にはまた下落している。
現在の状況は、記事が書くとおりに"debt"という言葉が金融機関にとって4文字言葉なみに禁語になってしまっていることである。金融機関は資産価値の悪化に脅えて、新規貸付を極端に控えて現金保有に走っている。典型的なマルクス的パニック症状である。
日本で97年末にも金融危機が起ったが、あの時期の金融における根本的な原因は、土地価格の連年に渡る下落によって都市銀行の手持ち資産が時間が経つごとに急速に悪化していったことであった。銀行のバランスシートが年々悪化し、手術が必要であったのに決断できず、ついに三洋証券・拓銀・山一証券の連続破綻によって金融の機能はストップした。97年末日本で一手にバランスシートを痛めていたのは、企業部門であった。
現在の金融危機は、かつての日本よりも金融機関のバランスシートはそれほど痛んでいないかもしれない。しかしバランスシートの悪化を、オーバーボローイングの家計部門もまた痛烈に被っている。これは、日本にはなかった状況である。今回のアメリカの危機は、その影響する範囲が日本よりも広いことが懸念される。
もし今後危機が悪化して家計のバランスシート救済にまで政府が手を出したならば、今度はバランスシートの悪化を政府がかぶることになるかもしれない。そうなれば政府部門のバランスシートが、疑われることになるかもしれない。疑うのは、アメリカ国債に投資している諸外国である。アメリカに投資してくれる諸国への信任を取り付けなければ、ドル支配が崩れる。それはアメリカの時代の終わりを意味するから、政府は何としてでも阻止しようとするであろう。そんなときにアメリカ国債の一番と二番の買い手である中国と日本がいがみ合い続けるのは、分割して支配する原則から言ってアメリカにとっては願っても無い状況であろう。
JPMorgan Chase takes over stricken Bear Stearns. Panic is in the air
By ditching its longstanding rule about lending only to commercial banks and extending this facility to investment banks, the Fed is in effect admitting that it faces a different sort of financial system—one in which dealers pose as much of a threat to stability as lenders.
― FRBは、長い間守られてきた商業銀行だけに貸付を行なうというルールを破って、投資銀行にまで保護の範囲を拡大した。これによって、FRBは事実上、別種の金融システムの世界と対決することになった。すなわち、ディーラーが貸付業者と同じぐらいに、システムに脅威を与えるという世界である。
ベアスターンズのベイルアウトで金融業界の破綻危機が去ったと思うのは、おそらく早計であろう。すでに市場は、次の容疑者探しを始めている。レーマンの株価は急落し、メリルリンチにすら疑惑の目が向けられようとしている。
保護しなければならないシステムの範囲が途方も無く広がって行きつつある状況は、このまま金融危機が深まって行けばFRBの対処できる能力をすぐに超えてしまうであろうことを示唆している。デリバティブを取り扱っているディーラーがシステムを脅かす危険があるならば、その対象は非常に広く、かつ暗黒の世界が拡がっている。これまで野放しでやりたい放題やって来たヘッジファンドの闇鍋から、今後いったい何が飛び出して来るかわからない。
政府が金融機関に公的資金を投入する可能性が、次第に高まっている。対象とされる機関の数は、もしかして恐ろしく多くなるかもしれない。そうなれば、空前の規模の税金が金融亡者の後始末のために費消されるだろう。クルーグマンは投資会社Pimcoの代表がフィナンシャルタイムズに寄稿した文の内容について、それをわかりやすい言葉で要約すれば「投資家を救済せよ、家主には何もするな」であろうと批評している。システムを維持するためには、大衆から税金とローンで二重に金を巻き上げて、ギャンブラーたちの懐をもう一度温めよというわけであるか。この政策をアメリカ人民に受け入れさせることは、リンカーンやF.ルーズヴェルトでも難しいだろう。
いったいこの十年間の金融市場の活況でアメリカが得られたものは、何だったのだろうか。レバレッジを効かせたデリバティブとは、言葉だけ物々しいがその正体はただのギャンブルではないのか。そして、ギャンブルだから見かけの華々しさとは裏腹に実は大して儲けていない。この記事によれば、1980年から2005までの25年間で、ミューチュアルファンドの投資家が上げた収益の平均値はS&P500の上昇率よりも5%も下回っていたと統計された。すなわち、ファンドマネージャーたちの平均的生産性は、市場平均以下なのである。彼らの巨額な報酬こそが、バブルであった。パーティーは、終わろうとしている。
The Fed flexes its monetary muscle. Will it help?
記事の題は"Aggressive"となっているが、市場に言わせればずいぶん控え目なFRBの金融緩和であった。市場は、1%の利下げすら予測していたのだ。
18日、ダウは420ポイントも上がった。月曜日に95円台にまで上がったはずの円は、19日朝現在で99円台。ものすごい投機相場だ。好材料といえば、レーマンとゴールドマンの決算が予想以上に良好であったこと、それだけであった。レーマンが第二のベアスターンズになりそうにないという安堵感が、買いにつながった。その買いが、一日限りのユーフォリアを生み出した。IMFが表明したサブプライム融資での損失は予想の4倍の8000億ドルに昇るだろう、という昨日の警告は、とりあえず明日以降の売り材料として無視された。
相場の流れには、戻し局面が必ずあるものだ。今回の上げは、あまりにも売られすぎた地点からの戻しであろう。これで長期トレンドが反転するかどうかは、疑問である。いまだに住宅市場は暗鬱で、長期の底入れを確約するべきマクロ状況は好転していない。外貨預金を契約するならば、今週初めに買って今週末にでも売り抜けるべきであったな。IMFによるとサブプライム融資での損失は、米国とEUに集中している。金融セクターがほとんど無傷の日本円が、今年半ばにかけて上昇していく可能性は高い。米国当局は、貿易収支を改善するためにある程度までのドル切り下げを目論んでいるに違いない。
What went wrong in the financial system—and the long, hard task of fixing it
By 2007 financial services were making 40% of America's corporate profits—while employing only 5% of its private-sector workers.
―2007年までに、金融サーヴィス業はアメリカ企業の40%の利潤を上げていた。しかし、私企業部門のわずか5%しか雇用いていなかった。
ゴールドマンサックスの推計によると、住宅市場の下落による損失の総額は1.1兆ドル。このうち外国資本の持分と保険会社などによるレバレッジされていない投資(つまり、自己資本の範囲内で損失を賄えるとみなされる分)を除けば、アメリカ金融機関の損失は3000億ドル、すなわちGDPの2%程度であるという。これが、おそらく今後公的資金注入によって救済されなければならない額となるであろう。
これまでの金融業界の異常に高かった利潤は、そのかなりの部分が真の生産性ではなくて、単に運が良かったからであった。市場とは、上がる時もあれば下がるときもある。
もし1億ドルの自己資本を持っていて、去年1億ドルの破格の利潤をFXとかLBOとかの危ない投資で上げたとしよう。たまたま、去年は好景気で全ての資産がインフレであった。利潤で上げた1億ドルは、CEOとファンドマネージャーと株主配当で分け取りして、彼らはわが世の春を謳歌していた。ところが今年は資産価格が調整に入って、レバレッジのせいで評価損が増幅してとうとう1億ドルの含み損を抱えてしまった。FRBの投資銀行への緊急融資は、このような会社をつぶさないために行なわれた。放っておけば、自己資本を毀損してこの会社はつぶれるまでである。だがもしつぶれれば、この会社に金を貸していた別の会社までが、巨額の損失をこうむる。そうなれば、核分裂のごとき連鎖反応が起るであろう。
だが、金融界全体で見れば、このような会社が山ほどある。その全てが、レバレッジの効かせ過ぎで、そのうちつぶれる運命にある。そこで、もはや政府が資本なり融資なりの形式で、彼らの毀損した自己資本を底上げしてやらなければならなくなる。おそらく日本が行なったように劣後債や優先株のような条件となるであろう。金貸してやるから、もう一度経営を立て直して返せ、というわけである。
日本の銀行の例では、怒涛の合併によって経営コストを削減し、長年かけてようやく公的資金を大方返済した。日本の銀行はコスト過剰体質であったため、リストラの余地が大いにあった。日銀もゼロ金利を設定して、彼らが貸し借りの利ざやを取れるように支援してやった。
米さんの今後は、どうだろうか。あのCEOやファンドマネージャーの高給は、確かに最大のリストラ可能な分である。しかし、彼らはどれだけこれまでの自分たちの稼ぎが単なる幸運のせいであったと、認識するであろうか。いったい政府から注入された資金を返済するために、果たして奴らが低い報酬でこれまでのような放漫経営を改めて、努力するだろうか。
日本の銀行は、デフレにも関わらずよく政府の資金を返済した。しかし米さんの銀行は、そこまで殊勝だろうか。日本とは違う道で、楽に返済できるコースを熱望するような気がしてならない。― インフレさえ起れば、借りた金の価値などわずかの間に吹っ飛んでしまうのである。今度は政府のインフレで国民が苦しんだ結果であるにも関わらず、奴らはそれを自分の経営努力だと誇るかもしれない。
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