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United States アーカイブ

2008年03月04日

Clinton's double challenge

Hillary Clinton needs to do well both in Texas and Ohio

日本のメディアは、バラク・オバマ氏に大変好意的である。目立つ人だけにスポットを当てるという日本メディアの得意が、今回も例外なく発揮されている。ドイツ誌"DerSpiegel"のGABOR STEINGART氏は、オバマ氏の人気を

"alarming victory of style over substance"
- 実質よりもスタイルの勝利。警戒すべし

と言っている(記事"Change You Can't Believe In")。 STEINGART氏は、彼の人気をドットコムバブル時代の狂騒と同じだと言う。ドットコムバブル時代には、株価上昇の理由に利益も経験もリアリズムも一笑に付された。当時、利潤を上げてリアリズム路線を行くオールドエコノミーの株価は、低迷した。「上がるのが、上がる理由だ。」これが、バブルの原理である。そして、バブルはいつか現実に地を降ろさずにはいられない。
本日三月四日の民主党選挙で、ヒラリー・クリントンはジエンドかもしれない。記事は、オハイオで勝ってテキサスで惜敗ならば、彼女は立候補運動を続ける理由を得るであろうと、予測している。結果は見てのお楽しみだが、選ぶ家計の足元は春だというのに寒々としている。住宅価格は急落、クレジットの基準は急に厳しくなり、雇用はますます怪しく、その上物価高。遊んでいるお金もないから、今年はテレビで選挙でも楽しもうか。大統領になってからは真面目に働いてもらうとして、それまではエンターテイメントに徹して笑わせてくれる候補の方が、荒む国民の心情にとってはどうせ守られない公約以上のプラスなのかもしれない。

2008年03月05日

Die another day

Hillary Clinton bounds back into the Democratic race with victories in Texas and Ohio

四日の民主党大統領候補選挙は、ヒラリー・ロダム・クリントンの完勝に終わった。オバマニアの熱気も、オハイオの労働者とテキサスのヒスパニックたちには伝染しきれなかったようだ。テキサスでヒスパニックの投票率が記録的な高さとなったということと、選挙の結果を見れば、オバマ教祖の宗教的空気に嫌悪感を覚える年配層が相当多く投票所に駆けつけた、といったところであろうか?
とにかく、四日の結果をもって民主党の候補選挙は8月の党大会で決められるであろうことが、ほぼ確実となってしまった。テキサス州でヒラリーさんは勝ったが、元来この州は共和党の金城湯池で、本選挙で民主党に勝ち目は薄い。民主党が勝つためにはリベラルの地盤が固い、都市部と郊外で勝てる候補が必要だ。オバマ氏は若い層に圧倒的に強く、無党派層を巻き込んで投票パターンを変化させる可能性がある。一方ヒラリーさんは、大都会を含むニューヨーク州・カリフォルニア州で勝ったという実績がある。"change"を取るか、"experience"を取るか、民主党は二人のスローガンのどちらを取るか、岐路に立たされている。片方を取れば、もう片方を支持していた層は少なからず失望するであろう。
昨晩のTVで結果に表立って喜んだのはヒラリーさんであったが、真の喜びを噛み締めているのは、民主党の分裂を見た共和党のマケイン氏であろう。

2008年03月07日

Never say die

The voters in Texas and Ohio have upended the Democratic race yet again

Mrs Clinton can use the peculiar result in Texas—the fact that the caucuses produced such a different vote from the broader primary—to question the significance of Mr Obama's performance in other caucuses, all of which he has won.
― クリントン氏は、テキサスの奇っ怪なる結果を利用できるだろう。つまり、コーカス(党員集会)は、もっと広範囲の予備選挙とは違う結果をもたらすということだ。これは、オバマ氏が勝ち取った他州でのコーカスの重要性を疑わせることになる。

三月四日の選挙結果を受けて、ヒラリーさんが自分の有利をスーパーデレゲートに対して - 彼らの票を加えることなしには、誰も民主党大統領候補に選ばれそうにないことが、確実となった - アピールするために使えるネタは、いくつかある。
一、フロリダ・ミシガン両州の代表は党則違反で数えられないことになっているが、両州ともにヒラリーさんの勝利が確実なはずであった。スーパーデレゲートは、これらの州の党員の声を考慮に入れなければならない。
一、ヒラリーさんは、オハイオ州で大勝した。オハイオ州は、民主党にとって"bellwether state"(本選挙で鍵となる州)である。かつてオハイオ州を勝ち取ることなしに、ホワイトハウスに入った民主党候補はいない。そして、
一、テキサス州では予備選挙が行なわれながら、同時にコーカスでの投票も行なうという変な二重投票のシステムが取られている。コーカスは集会形式であって、駆けつけられる希望者だけが決められた時間に集まって、投票する。コーカスの勝者は、オバマ氏であった。予備選挙は投票日以前にも事前投票ができる。予備選挙の勝者は、ヒラリーさんであった。民主党の基盤である労働者や主婦は、仕事や家事に忙しくてコーカスに出席が難しい。オバマ氏はこれまでコーカスで勝利を重ねてきたが、それは民主党支持者の真の層を反映していないのではないか?
しかし、現在ではいまだにオバマ氏が多くの代議士を獲得しており、おそらくこの差は縮まったとしても逆転しそうにない。そこで、スーパーデレゲートの判断次第となるだろう。記事は、民主党の苦悩について、最後にこう書いている。

There is an ancient Greek myth, retold in Aeschylus's play “Seven against Thebes”, about two sons of Oedipus who fought so bitterly over who should inherit their father's kingdom that they ended up slaughtering each other. This could be the Democrats' Theban moment.

― アイスキュロスが劇に仕立て直した古代ギリシャの伝説で、『テーバイに向かう大将』という話がある。テーバイ王オイディプスの二人の息子が、彼らの父の王国をどちらが受け継ぐかを巡って相争った。その結末は、両者が互いに斬り殺しあうというものであった。次のペンシルヴェニア州でクリントン氏が勝ったならば、それは民主党がテーバイとなる瞬間となりかねない。

2008年03月12日

Turning nasty

Barack Obama wins in Mississippi but his scrap with Hillary Clinton is getting uglier

Even though he is behind there in the polls, Pennsylvania cannot come soon enough for Mr Obama.
― ペンシルヴェニア州の選挙では、オバマ氏は不利が予想されている。だが、彼にとって投票日までの時間はむしろ長い。

民主党代表選挙は、二候補が決めてを欠く中でいよいよ"nasty"になって来た。オバマ陣営のスタッフがヒラリーさんのことを"monster"と言ったかと思うと、ヒラリー陣営が黒人のフェラーロ氏(1984年の民主党副大統領候補)を宣伝で担ぎ出して、彼が「オバマ氏が候補であり続けている理由は、ただただ彼が黒人だからだ」と言わせてみたり。これに対してオバマ陣営は、当然のごとくレイシズムだと批判している。
"nasty"な大統領選挙は今に始まったことではないから泥仕合でも何でもすればよいが、オバマ、クリントン、マケインのいずれがホワイトハウス入りするかで、アメリカの世界政策は多少なりとも変化する。つまり、世界に何らかの影響を与える。"Der Spiegel"は、三候補が大統領になったときに、彼と彼女たちの公約から推測してアメリカ以外の世界にどのような影響が出るだろうか、記事でまとめている。マケイン氏は元軍人らしく最もタカ派的で、イラクからの撤退はしない、イランには先制攻撃も辞さない、ロシアをG8から追放してインドとブラジルに変える、中国の影響力拡大は阻止する、などという積極路線をこれまで表明し続けている。もっとも、いざ大統領になったとき本当にここまで西側至上主義に走るかどうかは、わからないが。オバマ氏、クリントン氏の両者は、おおむねマケイン氏の真逆路線で一致している。イラクからの原則的撤退、イランとの対話(オバマ氏はイラン大統領と無条件に会見すべきとまで表明している)、中国などの新興パワーとの協調だ。
どちらの路線にせよ、国内政策では全ての候補が財政赤字削減を目標にしている。そのためには、アメリカの軍事支出の大幅増大は難しい選択であろう。EUあるいは日本への軍事貢献拡大への圧力は、誰が大統領となっても今後避けられないのではないだろうか。世界秩序のためのタスクに対して経済力が追いつかなくなってきたアメリカは、二十世紀初頭の大英帝国に似て来た。当時の新興勢力はドイツと日本であったが、大英帝国は日本を取り込んでドイツに包囲網を敷いた。二十一世紀現在のドイツ・日本は、中国・インド・ロシアである。これらの勢いを増すパワーと単独で渡り合える力は、おそらくもはやアメリカにはない。

2008年03月19日

Disowning racism

Barack Obama speaks about race

If he fails to keep defining himself aggressively, his pastor’s paranoid and angry comments will let opponents do it for him.
― もしオバマ氏が自らの信条を明確にすることに失敗したならば、彼の牧師が行なった偏執狂的で怒りに満ちたコメントが、彼のライバルに利用されることとなるであろう。

オバマ氏のアドバイザーで20年来の宗教的師匠であったジェレミー・ライト氏が、黒人の苦境の元凶であるとして白人を呪いアメリカを呪う、激烈な演説を行なった。その演説内容が、TVとネットで全米に広まってしまった。間が悪すぎる。アメリカ人は、いまどこまで落ち込むかわからない不況とインフレで、戦々恐々としている。そんなときに、不和を煽り立てる演説を行なうような宗教家の弟子であるオバマとは、一体何者だ?
オバマ氏は、ライト氏の発言を誤りであるとするレトリック巧みな演説を行なった。しかし、長年の師であるライト氏を排除することは、しなかった。誠実の人であるべき彼は、そうするしかなかったであろう。だが、これは彼の選挙運動にとって、痛烈すぎる打撃ではないか。オバマニアは別として、それ以外の中高年層にとってライト氏とオバマ氏との関係は、おそらく最悪の印象を与えることになるであろう。彼は、まだ若い。4年後も8年後も、チャンスはあるさ、、、ちょっと早いか?

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