『国家論』佐藤優
まず、昨日同氏の『国家の罠』をもう一度取り上げて読み、その後に本書を京都府立図書館で借りて読んだ。この本に引用された柄谷の『世界共和国へ』は、今日アマゾンで注文済み。この本も、購入するであろう。本著作中でマルクスと柄谷への言及が多くあることは、かつて微温的ながらも両者の著作を大学時代に読んだ経験が、比較的容易に述べられた内容をトレースすることに役立った。
私は、この理論書を読みながら、『孟子』を並行して考えていた。
『孟子』もまた、「統整的理念」(p216~)を言う。王道政治である。それは、現実の天下では実現不可能であり、しかし「このような仮象がなければひとが生きていけないという意味で、『超越論的な仮象』」ではないだろうか。
荀子、韓非子の挙げた国家改革論は、秦漢帝国の登場によって現実で達成された。
ゆえに、彼らの思想はすでに現実化されて、使命を終えている。
だが、孟子の思想は絶対実現できない理念であるがゆえに、いまだに使命を終えていないのではないか。
そんなことを、思った。