「外交は人である。」(p13)
この鈴木氏の言葉を読んだとき、嘆息せざるをえない。
「(鈴木)しかし、そのときの自民党は懐が深かった。」(p149)
「(佐藤)そもそも保守の思想というのはイデオロギーではありません。保守というのは文化、生活に根ざしている。だから人間本位なんです。脇が甘くていいんです。徒党を組んで、敵を排撃していくというのは保守の思想ではありません。」(p150)
だから、保守は都市部の有権者たちや若者に評判が悪い。
小泉総理、鳩山総理時代は、イデオロギー優先の革新思想時代であった。だから、敵か味方かの政治になるのは当然であった。その両方の革新とも、残念ながら日本を弱体化させてしまったようである。革新思想を本気で断行する肝の据わりが、本当の革命者に比べて弱かったのであろうか。
5月1日9時、読了。
小泉総理時代とは、国内の求心力を増すことを優先して、外交上の国益を損なうことも厭わなかった時代であったといえるのであろうか。それほどまでに国政への国民の信頼度が地に落ちていて、パフォーマンスでテコ入れしなければいけなかった事情が、当時の小泉政権にはあったのであろう。じじつ、後を継いだ第一次安倍、麻生政権の後で自民党は同様に国内の求心力を集めた鳩山民主党政権に敗れ去った。
国内の求心力を外交的利益に優先する2000年代のわが国政は、そのまま韓国とPRCと対を成しているように見える。