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2013年04月 アーカイブ

2013年04月30日

『国家論』佐藤優

まず、昨日同氏の『国家の罠』をもう一度取り上げて読み、その後に本書を京都府立図書館で借りて読んだ。この本に引用された柄谷の『世界共和国へ』は、今日アマゾンで注文済み。この本も、購入するであろう。本著作中でマルクスと柄谷への言及が多くあることは、かつて微温的ながらも両者の著作を大学時代に読んだ経験が、比較的容易に述べられた内容をトレースすることに役立った。

私は、この理論書を読みながら、『孟子』を並行して考えていた。
『孟子』もまた、「統整的理念」(p216~)を言う。王道政治である。それは、現実の天下では実現不可能であり、しかし「このような仮象がなければひとが生きていけないという意味で、『超越論的な仮象』」ではないだろうか。

荀子、韓非子の挙げた国家改革論は、秦漢帝国の登場によって現実で達成された。
ゆえに、彼らの思想はすでに現実化されて、使命を終えている。
だが、孟子の思想は絶対実現できない理念であるがゆえに、いまだに使命を終えていないのではないか。
そんなことを、思った。

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『北方領土「特命交渉」』鈴木宗男・佐藤優

「外交は人である。」(p13)

この鈴木氏の言葉を読んだとき、嘆息せざるをえない。

「(鈴木)しかし、そのときの自民党は懐が深かった。」(p149)
「(佐藤)そもそも保守の思想というのはイデオロギーではありません。保守というのは文化、生活に根ざしている。だから人間本位なんです。脇が甘くていいんです。徒党を組んで、敵を排撃していくというのは保守の思想ではありません。」(p150)

だから、保守は都市部の有権者たちや若者に評判が悪い。
小泉総理、鳩山総理時代は、イデオロギー優先の革新思想時代であった。だから、敵か味方かの政治になるのは当然であった。その両方の革新とも、残念ながら日本を弱体化させてしまったようである。革新思想を本気で断行する肝の据わりが、本当の革命者に比べて弱かったのであろうか。

5月1日9時、読了。

小泉総理時代とは、国内の求心力を増すことを優先して、外交上の国益を損なうことも厭わなかった時代であったといえるのであろうか。それほどまでに国政への国民の信頼度が地に落ちていて、パフォーマンスでテコ入れしなければいけなかった事情が、当時の小泉政権にはあったのであろう。じじつ、後を継いだ第一次安倍、麻生政権の後で自民党は同様に国内の求心力を集めた鳩山民主党政権に敗れ去った。

国内の求心力を外交的利益に優先する2000年代のわが国政は、そのまま韓国とPRCと対を成しているように見える。

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