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盡心章句下






孟子曰、周于利者、凶年不能殺、周于徳者、邪世不能亂。

孟子は言う。
「常に利益に計算高い者は、凶作の年といえども死にはしない。常に徳を修める者は、邪悪な時代といえども心を乱されない。」

「どうして利益ばかりおっしゃるのです」と梁の恵王や墨家の宋牼(そうけい。ケイはうしへん+「輕」の右側。)を諌めた孟子である(梁恵王章句上、一および告子章句下、四)。利益を求めるような心を評価するはずがない。しかし本章では、利益に計算高い者というものはうまく立ち回って凶作の年でも生き残るだろうと言う。気を見るに敏で狡猾な者は、災害や戦争といった災厄の中でもしたたかに生き延びる道を見出すものだ。孟子はそのことを認めざるをえない。神の天罰など想定しない以上は、当然である。だが孟子はその後に徳を修める者の不動の心を述べて、そちらの方がよりよい生き方であることをほのめかす。儒教はエリートへの教えである。愚かでも善良でありさえすれば天の神様がヒイキして救ってくださるような、救済の教えではないのだ。あくまでも儒教は自力で身を修めて階層を上昇すべしという自力救済の教えであるから、科挙のような開かれたチャンスを(原則として)全ての人に与える社会制度が最も適合的となる。中国で身分制度が十分に発達しなかったのも、儒教倫理とよく整合性を持っているように思われる。


(2006.04.04)



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