東山・四条界隈でも新しいラーメン屋が表れては、短期間で消えてゆく。何十年も続くラーメン屋などはほんの一握りなのだ。昔の江戸っ子は、若い衆が何か日銭を稼ぐために手っ取り早く商売を始めようとすれば、それは決まって食い物屋であった。天ぷら屋なり屋台のそば屋なり、麦湯売りなりと。それだけ昔の食い物屋は元手がいらなかったわけだが、現代の日本ではそうはいかねえ。開業しているだけで店代と光熱費が容赦なくかかるし、人を雇えば人件費は大きくかさむ。食い物屋は決して見込みのよい商売ではなくなってしまった。昔ヨーロッパの都会に行って少し戸惑ったことは、食い物屋の数が非常に少ないことであった。あれはたぶん、費用がかさんで割りに合わないから衰弱してしまっているのだろう。何十年か後の日本の都会も、おそらく今よりもずっと食い物屋の数が減っていると思う。
(一人前の分量です。)
鶏むね肉 100グラム |
しょうが 1かけ、長ねぎ(太いもの) 1本 |
チンゲン菜 1/2株 |
生麺 1袋 | 水 カップ5(スープ用) |
《調味料》 塩 小さじ1、しょうゆ 大さじ1、酒 大さじ1 |
鶏肉は、スープを取った後に具に使う。捨てるなんてもったいない。
スープを作る。鍋に水を入れて沸騰させ、長ねぎの青い部分と皮ごと薄切りにしたしょうがを入れて、鶏肉を入れる。吹いてきたら、すぐに火を弱火にする。このまま30分間火を通し続ける。
時々アクをすくう。卵の殻を入れるとアクを吸い付けてくれる利点があるが、逆に殻の破片がスープに入り込む欠点がある。鶏肉は牛肉・豚肉と違ってそれほどアクが出ないので、今回は入れなかった。30分間経ったら鶏肉を取り出し、スープからねぎやしょうがを取り出す。漉し網を使えばよい。
具は、さきほど取り出した鶏肉、チンゲン菜、長ねぎの白い部分。チンゲン菜の代りに小松菜を使ってもいい。それぞれ1cm角の大きさに切る。
ラーメンを作っていく。まず、鍋に湯(分量外)を沸騰させて、生麺をサッとくぐらせる。外側の粉を取るのが目的だから、煮込まずにほぐれたらすぐにザルに空ける。
次に、空いた鍋をもう一度熱して油大さじ1を入れて、チンゲン菜とねぎを軽く炒める。
スープを入れて、鶏肉を入れる。調味料を加える。
吹いてきたら、さきほど湯をくぐらせた麺を入れて、適当な時間だけ煮込む。
30分時間をかければ、鶏肉だけでもなかなかいいスープが出るものだ。