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はははは。BL(Boys' Love)か。そいでもって腐女子か。たまたま漢語でも「婦」(fù)と「腐」(fŭ)とは声調違いの類似音になっているので、当地でもギャグとして成立するのだろうか。BL(やおい or 801ともいう)にハマる「婦女子」のことを「腐女子」というのは2ちゃん由来だったっけ?
かつて、少年漫画が脳ミソまで筋肉であることをよしとする熱血・友情・勝利路線に狂っていた時代、少女漫画は高度の知性とガラス細工のように繊細な人間関係を描いていた。当時の少女漫画を読み解くために必要な精神年齢は、少年漫画よりも10歳高かった。私も八十年代中期の『花とゆめ』『ララ』の高踏さを、あきれ返りながらも読んでいたものだ。だがその一方で婦女子たちはやおい創作に目覚め始めて、腐女子となっていった。『キャプテン翼』、『聖闘士星矢』、『鎧伝サムライトルーパー』などの本来少年向けに描かれた漫画やアニメをBL化する二次創作に、腐女子たちは熱中したものだ。当時、『星矢』のアニメで、明らかに腐女子たちの受けを狙った「アンドロメダ瞬がキグナス氷河を抱きしめて暖めるシーン」が挿入されたことを思い出す。腐女子の世界は、この頃から高度な物語を求める時代から転換して、意味も筋もはっきり存在しない性的ファンタジーを楽しむ方向に進化(あるいは退行?)していったのだ。その腐女子の変化を、十年遅れで男のヲタクたちが追っかけていった。作品の中から「萌え」要素だけを抽出して「ヤマなし、オチなし、イミなし」の男女のからみだけを熱中して描く二次創作が、ヲタたちの興味の中心となったのであった。男のヲタたちが周回遅れで物語を求めるゲームに熱中したのが『エヴァンゲリオン』であったが、当の作品自体がそれを自己否定していった後には、物語が倒壊した廃墟の上に「萌え」の燃えかすだけが残っていた。その焼けただれた土壌に、以降「腐男子」どもの「萌え路線」だけが繁栄するようになったのであった。一番「やおい」的創作が作りやすいギャルゲーが腐男子どもの愛好するテーマの首座に踊り出たのが、ちょうど『エヴァ』が終了した直後であった。それは、時代を非常に象徴的に表していた。
(以上、講義終わり)