また台湾の話になるが、台湾の夜市でとにかくよく見かけたのが、牛・豚・鶏の肉の焼き物だ。彼らはとにかく肉が大好きなのだろう。その上、モツや豚足・鶏足などのいわゆる「ホルモン」も多彩に売られていた。しかし日本ではケダモノの内臓や足などは、まさしく「ホルモン」と呼ばれるにふさわしい扱いを受けている。大阪弁で「放(ほ)る」とは「捨てる」という意味。だから、「ホルモン」とは「放るもん=捨てるもの」というシャレが語源なのだ。日本人は肉食の歴史が浅く、肉をおおっぴらに食べ始めたのは明治維新以降である。近代になって食肉を始めたものだから、ケダモノのあらゆる部分を大事に全部食べるという生活の知恵からにじみ出る文化が全く成立しないまま、現在に至っている。何とも勿体無い消費のありようだ。
やはり、日本食の根源には魚があるのであろう。しょうゆと日本酒とみりんを使うだけで、魚の煮付けができあがる。上手に食べれば、内蔵までうまい。しかも焼き魚や煮魚のお膳には、米と、日本酒と、味噌汁と、後は若干のお菜ぐらいしか調和する食品がない。デザートなど全く合わないし、食後のコーヒーなどは論外。口の中にしょうゆ味を染み付かせて排他的にしてしまうのが、焼き魚・煮魚なのではないだろうか。日本人が米を食べなくなった原因には、焼き魚・煮魚を食べなくなったことが関わっているような気がする。
(以下は、1尾分の分量)
めばる 1尾 |
しょうが 1かけ |
《調味料》水 カップ1/2、しょうゆ 大さじ4、みりん 大さじ4、酒 大さじ2、砂糖 大さじ1と1/2 |
調味料は、あらかじめよく混ぜ合わせておく。
うろこ・内臓を処理済のめばるを買ってきた。ちょっと小ぶり。
しょうが1かけを二つに割って、片方は厚切りに、もう片方はごく薄切りに。
魚の片方に飾り包丁を十字に入れて、ざるの上から湯をふりかける。
鍋にしょうゆ他の調味料としょうがを入れて、魚を静かに置く。落しぶたをして強火で熱し、沸いたら弱火にして、約8分間煮汁が煮詰まるまで煮込む。途中、時々煮汁を魚の上にかける。
というわけで、煮上がった。一匹だけ作るならば、このように煮汁がよく回るようあまり大きくない鍋で煮るべきだ。入りきらなければ二つに切る。
薄切りにしておいたしょうがを針状に千切りにして、上に乗せる。
尾頭つきは見ばえがするが、食べるのが面倒。切り身を使う方が、ずっとイージー。