10月末日は、ハロウィーンの日。漢語で「萬聖節」と訳されているように、キリスト教的解釈としては、この日は全ての聖人と殉教者の霊をいっぺんに祭る"All Saints' Day"の前夜祭なのだ。"hallow"は、聖人を意味するゲルマン語由来の言葉。"All hallows even"がなまって、"Halloween"となったのだ。もっとも、このハロウィーンの祭りの内容は、キリスト教とあまり関係がない。ケルト人の古い習俗が起源で、死者の霊がこの日に地上に帰ってくる日と信じられていた。つまり日本のお盆や中国の鬼月と一緒の位置付けであって、この日には地獄の蓋が開いて死者の霊と共に悪鬼悪霊のたぐいもまた地獄から地上に這い出してくる。だから取り殺されないように、生者の側も悪鬼や魔女のコスプレをして素性を隠すというわけだ。このように実はおどろおどろしい内容のものであるために、アメリカのキリスト教の一部の宗派では、ハロウィーンはキリスト教と関係のない異教徒の祭りであるとみなして、信徒に参加を禁じていたりする。
ハロウィーンはもともとケルト人の習俗が根強く残っていた、アイルランドとイングランド固有の祭りであった。それがアメリカに渡って定着し、子供の遊びとして形を大きく変えて商業化されて、今や世界中で広まり始めている。日本でも先週の日曜などは各地でコスプレパレードが行なわれていたりした。だが"trick or treat"(いたずらされたくなけりゃ、何か恵んでくれ!)は日本で拡がるかどうか、ちょっと疑問だな。あれは日本人の感覚から相当遠いような気がする。普段子供を厳しく規律づける社会だからあのような子供の逆襲も息抜きとして受け取られるが、日本のような子供を宝のようにベタベタ可愛がる社会では、ただのつけ上がりにしか映らないのではないだろうか。私も少なくとも日本に住んでいる限り、ガキからそんなこと言われてもシカトすると思う。
ところでハロウィーンと言えば、手作りのジャッコランタンだ。カボチャをくりぬいて目鼻をつけて、ろうそくを中に灯して飾る。いかにも恐ろしげでいい。工作魂をそそられもする。そこで、私も工作魂に動かされて、自作してみることにした。ただし、本式のオレンジのカボチャでなくて、緑のやつで。オレンジのやつなんか、どこのスーパーでも売ってないよ。
彫刻刀一本で作る。これでも美術の成績は結構良かったほうだ。BGMは、もちろんドイツのメタルバンド"Helloween"の"Keeper of the Seven Keys part I "で。これは、名盤だ。
と、いうことで、目鼻をかたどった。後は貫通させれば、完成だ。
夜の帳(とばり)が落ちる。悪霊の這い出る、逢魔が刻(おうまがとき)だ。部屋を暗くして、静かに火を灯す。
、、、なかなかいい感じだ。やはり、ろうそくで火を点けたほうが雰囲気が出る。 、、、アメリカではコンテストも開かれていて、ずいぶん細かい彫刻をしたものも作られている。ねーちゃんのヌードを彫ったりして、恐ろしさからは程遠いデザインもある。だが、やはり兇悪な人相を彫ったほうが、本来の意図にかなっているはずだ。 、、、だが下からアップで撮ると、マヌケ面になった。 モンスターがらみで、ポケモンのパッチール樣も祀ることにした。そうだ、ポケモンは悪魔崇拝なのだ。アメリカでキリスト教の一部団体が「神の力ではない魔術を使うモンスターを可愛がるのは、悪魔崇拝につながる」とポケモンを厳しく批判しているのは、全く正しい。 闇の中を恍惚として踊る、パッチール樣。
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アメリカではジャッコランタンを作るためのカボチャは、食べずに捨ててしまうという。今やそれ専用のカボチャが使われるから、食べてもおいしくないという。しかし何かそれは祭りの中の大事なことを忘れているような気がしてならない。そういうわけで、今回作ったジャッコランタンについては、勇躍食べてしまうことにする。詳細は、「C級グルメ道」のコーナーで書くことにします。