菊は旧暦九月九日の重陽の節句を過ぎると、「十日の菊」と呼ばれる。「六日のあやめ、十日の菊」という言葉がある。五月五日の端午の節句を過ぎたあやめと重陽の節句を過ぎた菊は、もはや観賞のシーズンを過ぎてしまった残されものにすぎない。「六日のあやめ、十日の菊」とは、そのような時代遅れで役に立たない物事を揶揄した言い回しなのだ。
確かにすでに木枯らしの吹く寒空の下では、菊見という気分にもならないかもしれない。だが、屋内にあれば話は別だ。菊の活け花には、華やかな白磁よりもこのような枯れた味わいの陶器がよく似合う。高台寺前、『中谷』で撮影。