学而篇 子曰道千乗之国章
子の曰(のたまわ)く、千乗の国を道(おさ)むるには、事を敬(つつし)みて信、用を節して人を愛し、民を使うに時を以てす。
[現代語試訳]
孔先生が言われた。千乗の車を持っているほどに、大きな役所を持っている国の、その一官吏となった。大国の官吏たるものの心得とは、なんであろうか?それは、どんな事務でも真面目に行うことによって信用を得るように心がけ、予算は節約して人を愛し、民を徴用するときには時期を選ぶことだ。
[筆者のコメント]
「千乗之国」は決まり文句で、「戦車を千台集めることができる大国」という意味。孔子の当時であれば大国の斉はもちろんであり、孔子の時代には魯や衛はまだまだ強国であったから、この両国もまたそうであろう。孟子の時代にはさらに国家規模が巨大化して「萬(万)乗之国」という語句が現れた。(梁恵王章句上第一章「萬乗之國弑其君者、必千乗之家」)。