四条通りから東を眺めれば、通りのビルの向こうに四季を通じて美しい稜線が横たわっている。
東山三十六峰。真夏の夕暮れの雲ひとつない空と、境界を作る。こんなにも都市化されてしまった通りの背景に人口的建造物が何もない尾根が見えるなどは、ちょっとした奇跡である。私はこの稜線を四条大橋からかいま見て以来、京都という古臭いまちに愛おしさを持ってしまったようなものだ。
通りの白との間に、緑の三角背景を作る。ここには春に新緑が萌え出し、秋には木々が色づいて、一年を通した絵物語が映し出される一等のスクリーンであるのだ。