だしとしょうゆは全ての和食の基礎にある、和食の最大公約数とも言えるものだ。だがこの日本的風味は、パンや牛乳・チーズとほとんど調和しない。最近の学校給食は米飯もかなり増えたようであるが、私の小学生時代には月に1回が原則だった。他の日は、パン(しかもぜんぜんうまくない粗末なパン)であった。しかも滑稽なことには、米飯が支給される時にすら、牛乳が出ていた。主食がこの有様だから、おかずも自然と洋食中心だった。クリームシチューとかチーズハムカツとかがよく出て、乳製品料理が基本的に嫌いな私を泣きに泣かせたものだ。スープが出ても野菜スープとか卵スープなんかが中心で、味噌汁など出てきたためしがない。だいたい味噌汁を飲んだ後に冷たいミルクなど、飲めたもんじゃない。たまに筑前煮などの和食も出ていたが、今から考えればそんなものパンや牛乳といっしょに食べるような一皿ではないだろう。学校給食がパン食となった背景には戦後政治の様々な思惑があったようであるが、そのパン食に引きずられて、おかずの内容は和食メニューがずいぶん抑圧されていたと今になって総括してしまう。まことに残念なことだった。昼飯なんか、おにぎりと味噌汁だけでもいいのに。
(以下は、2~3人前分の分量)
薄切り牛肉 100g |
木綿豆腐 1杯 |
白ねぎ 15cm |
《調味料》だし カップ1/2、しょうゆ 大さじ1と1/2、酒 大さじ1と1/2、みりん 大さじ1、砂糖 小さじ1 |
油 |
豆腐はまず縦半分に切って、次に2cm幅に切る。白ねぎは2cm間隔で斜め切り。牛肉は食べやすい大きさに切る。
鍋を焼いて油大さじ1を入れた後、火から遠ざけてぬれぶきんの上に置き、冷やす。鍋が冷えたら牛肉を入れて油をからめ、再び強火の火にかけて火を通す。肉じゃがの時と同じ要領。
肉に火が通ったら調味料を入れ、煮立つまで火にかける。
煮立ったら、肉を取り出す。代わりに豆腐を入れて、弱火にしてふたをして五分間煮る。時々鍋をゆすって、豆腐全体に汁をかける。
すき焼きのように、肉もおいしく食べたい。そのために、取り出して煮すぎるのを避ける。
五分経ったら、白ねぎと肉を戻しいれて、サッと煮る。
豆腐をさいの目切りにしてご飯の上にかけたら、和風麻婆丼になったりして。