連日、秋の好天が続く。気温は平年よりやや高めで、各地のカエデの色付きは遅々としている。しかし東山の東大谷(大谷祖廟)のイチョウは、もう黄色くなっていた。
花は自然の美をもって人間の所業の至らなさを包み飾ってくれるし、雪は地上の醜さを一切合財白く染め抜いて隠してくれる。だが雲一つない蒼天の下では、何一つごまかしようがない。美を美として、醜を醜としてはっきりと分別する。こんな秋空の下で被写体にならないような人工物ならば、それはおそらく地上にないほうがよいガラクタであろう。少なくともここの景色は、そう悪くない。