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京を寒がる - 青蓮院

(カテゴリ:半徑半里圖會

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今日は、二月二十四日。旧暦を調べてみれば、一月十八日に当っていた。 早春の季節だというのに、京都では雪が降った。今の温暖化したご時世には、まことに珍しいことだ。
なには女や京を寒がる御忌詣(明和六・一・二七)

京都では雪が降っても、難波(なにわ)ではからりと晴れていることが大抵だ。今日も、たぶんそうなのだろう。
御忌(ぎょき)とは、法然上人の忌日のこと。もとは旧暦一月十九日以降、東山の知恩院にて開祖を偲ぶ法要が行なわれていた。だから、上の蕪村の句に詠まれたがごとくまだ寒い早春の行事であったのだが、知恩院のホームページによると明治以降月を遅らせて現在は四月の行事となっているとか。だから、もはや御忌詣と寒さは、季節はずれ。


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やぶ入の夢や小豆の煮(にえ)るうち(明和年間)

「薮入り」という語も、とっくに亡んでしまった。もとは旧暦一月十六日のことで、この日に都市で下働きをする奉公人たちが休暇をもらって、実家の父母に会いに行く。つまり「養父(やぶ)入り」から来た言葉であるという。昔は電話も自動車もなかったゆえに、都市で働く子弟たちが実家と連絡できる機会などは盆と正月ぐらいよりない。だから、薮入りは大切な帰省の機会であった。蕪村の句は、実家でささやかに小豆を炊いて子供の里帰りを迎える景色を詠み込んだものだ。しかしこの句も彼の古典趣味に則ったもので、漢籍の『黄梁一炊の夢』の説話と引っ掛けているのだ。漢籍の説話で廬生が見た夢は壮大な栄枯盛衰の一代記であったが、蕪村流に日本化されれば実家で夢見るほのかな夢は、きっとたわいもないものであろう。


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青蓮院のクスノキは、常緑樹で年中青い。青い葉に、雪がかぶさった。昼なおしんしんと寒いが、時折雲の切れ目から注ぐ光は、確かにもう春を告げている。