« 『ステンカ・ラージン』演奏してみた、、、 | メイン | 首相官邸からのメール »

"The Lincolnshire Poacher"の訳&コード進行

(カテゴリ:ギター特訓中...

また今日も、ぜんぜん眠れない。
そこで、また一曲訳してみることにした。
イギリス民謡、"The Lincolnshire Poacher"。


When I was bound apprentice in famous Lincolnshire
Full well I served my master for nigh on seven years
Till I took up to poaching as you shall quickly hear
Oh, 'tis my delight on a shiny night in the season of the year.

G         D         G D G
おいら有名どころリンカーンシャーの密猟人
G      D        G  D
丁稚勤め、こきつかわれ、七年間
G      D     G        D
そいで密猟始めたら、有名になっちった
G           D   A D G
ソラ、シーズン中の月夜は楽しいな

As me and my companions was setting out a snare
'Twas then we spied the gamekeeper, for him we didn't care
For we can wrestle and fight, my boys, and jump from anywhere
Oh, 'tis my delight on a shiny night in the season of the year.

おいら、仲間連れて罠かける密猟人
管理人の跡を付けた、それがどうした
ぐるっと囲んで、寄ってかかり、殴り飛ばした
ソラ シーズン中の月夜は楽しいな

As me and my companions was setting four or five
And taking them all up again, we caught a hare alive
We caught a hare alive, my boys, and through the woods did steer
Oh, 'tis my delight on a shiny night in the season of the year.

おいら、仲間連れて罠かける密猟人
四つ五つ罠かけて、もう一回試して
見事に捕まりましたがな、元気なウサギ
ソラ シーズン中の月夜は楽しいな

We threw him over my shoulder, boys, and then we trudged home
We took him to a neighbour's house and sold him for a crown
We sold him for a crown, my boys, but I divven't tell you where
Oh, 'tis my delight on a shiny night in the season of the year.

ウサギ持って、うきうきして、家に帰る
隣近所の家に行きゃ、銀貨に換わる
その家は、どこかって?そんなん言えるか
ソラ シーズン中の月夜は楽しいな

Success to every gentleman that lives in Lincolnshire
(Alt. Bad luck to every magistrate)
Success to every poacher that wants to sell a hare
Bad luck to every gamekeeper that will not sell his deer
Oh, 'tis my delight on a shiny night in the season of the year.

みんなおいでリンカーンシャーの、密猟に
(または「ご馳走さん、リンカーンシャーの、領主どの」でもいいかも?)
ウサギ売って儲けたい奴、しっかりやれよ
子鹿も売れない管理人、災難続きだな
ソラ シーズン中の月夜は楽しいな

いやあ、愉快だねえ。
イギリス民謡は、ふてぶてしい。
日本民謡と、えらい違いだ。民衆は、領主さまなんぞに、素直に従ってなどいない。イギリスの領主さまは巨大な猟場を一人じめして、庶民を立ち入らせない。己はキツネ狩りを悠々と楽しみ、下賎の者には所有権だとか自由主義だとか難解な法学用語を並べ立てて、門前払いする。彼らには警察もあるし、裁判所もある。正攻法でぶち当たれば、庶民の負けは、決まっている。
だから、密猟するのさ。"poacher"とは、密猟者のことだ。

この曲は、かつてキプロスのイギリス空軍基地から流されていた謎の乱数放送の開始に鳴らされるジングルとして、ごく一部の熱狂的乱数放送ファンに愛されていた曲であった。
乱数放送とは、無意味なアルファベットの配列を、放送するもの。聞いても、何がなんだかわからない。
これを解読するキーを持っている受信者だけが、知ることができるのだ。乱数放送は、理論的に最高の機密性を発信者と受信者の間で保持することができる。そのキーを盗まれたり、あるいは同一のキーを繰り返し使ったりしなければ。二回同じキーを使ってしまったら、プロの手にかかれば見破られる。実際、ソ連やキューバの乱数放送は、見破られた。
曲の内容が密猟だから、スパイ活動にふさわしい、というわけなのだろうか。イギリス軍も、なかなかにお茶目である。現在は、この放送は行われていない。乱数放送なんぞよりも、もっと機密性が高くて使いやすいシステムが、導入されたからであろう。