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Hammerspace - ハンマースペース

(カテゴリ:英語版Wikipedia

@Wiki本記事@

「ハンマースペース」とは、フィクションの世界でファンたちが想像する超次元にあって直ちにアクセスすることのできる物入れのことである。この考えは、アニメやコミックやゲームの中でどうしてキャラクターたちが虚空の中からいろんな物を出すことができるのかを説明するために、ジョークとして使われるものである。

いちばんよく知られているのはワーナーブラザースのルーニー・チューン/メリー・メロディーや、ディズニーアニメで行なわれるものであるが、この言葉じたいは日本製のエンターテイメントから起源したものであり、また日本製エンターテイメントと絡めて言及されるのがふつうである。

「ハンマースペース」から1tハンマーを出して敵をぶっ叩くパターンのギャグは、明らかに『トムとジェリー』なんかのアメリカ製アニメが起源だろう。日本のエンターテイメントはそれを完全に文法の中に消化してしまって、もはや当たり前のように使っている。ショックを受けると背景に雷電が光ったり、あせったときにキャラが顔の半分ぐらいの大きさの汗をかいたりしても、それは「お約束」であって誰も異を唱えることはない(たしか「顔の半分ぐらいの大きな汗」はアニメ「きんぎょ注意報!」が起源だったような気がするが。当時私が見ていて「あれっ?」と思ったのを覚えている)。だがこれらは物理的法則から見ると、やっぱりおかしい。それをひねくれた視点から茶化して付けた用語の一つが、「ハンマースペース」だ。あくまでもわかった上でのジョーク用語である。


起源

ハンマースペースは、ギャグアニメや漫画においてかなりよく見られるお約束 a semi-common cliché からその名前が来ている。男のキャラクターYが女のキャラクターXを侮辱したり、あるいは侮辱しなくても何か怒らせたりする。Xはそのとき木のハンマー(サイズは大型のものから笑っちゃうほど超大型のものまであるが)をどこからともなく取り出して、Yをぶっ叩く。この行為は全く話の中の息抜きであって、筋を進めたりしないし相手に恒久的なダメージを与えたりもしない。この言葉ははじめ『うる星やつら』のファンによって大いによく使われるようになり、後に『らんま1/2』でも使われるようになった。それぞれの話では諸星あたると天道あかねが、それぞれ特にひんぱんにハンマーを使うので有名である。

ハンマースペースは、西洋のアニメーションにも同様のものがある。説明できないようなやり方でアイテムを作り出すのは短編アニメーションのごく初期時代にさかのぼることができるし、アニメーション黄金時代(注:1940年代~60年代ごろ)には非常に普通に見られた。ワーナーブラザースのアニメーションキャラクターはいろんなものを自分の後ろから取り出したり、あるいは全く画面の外から取り出すので特に有名である(銃、変装用具、傘、爆弾、金床、ハンマー)。これは(日本の)アニメよりも先行していたし、一般に日本のものにインスピレーションを与えたと考えられている。しかしながら、西洋のアニメーションにおいては、「ハンマースペース」のように用語化したことはなかった。

RPGの『トゥーン』Toonでは、この空間を「バックポケット」と言っている。


ゲームでのハンマースペース

ハンマースペースは、TVゲームにおいて「どうして自分自身より大きな剣を使うゲームキャラクターが、戦闘に入るまでそれを提げているように見えないのか?」とか、「どうして探検を続けるキャラクターが、8つも荷物を背負っているはずなのに全然見えないのか?」といった疑問を説明するためにも役に立つ。実際、ハンマースペースは一人対戦モードの撃ち手においてごく普通である。そのときの主役は、たいていありえないほどの荷物運搬能力を持っている。

アドベンチャーゲームは、プレイヤーが選んだアイテムを全部持つことができるのでハンマースペースの一番の好例である。。"The Monkey Island"は、主役のGuybush Threepwoodが不可能なほどに大きな物体をズボンの中に入れて後に出したりするなど、いろいろなシチュエーションによって中でも最も悪名高い。他の悪名高いアドベンチャーゲームには、"Space Quest III"(「はしごを取っておいて、おまえのポケットに入れておけ!」)、"Simon the Sorcerer"(Simonは彼の魔法のハットの中に、はしごのような巨大な物体を入れておく)、コミックみたいな"Sam & Max"などがある。

ハンマースペースや類似の空間を用いるキャラの例としては、『フェリックス・ザ・キャット』Felix the Catのフェリックスのマジックバッグ、『ピーナッツ』Peanutsのスヌーピーの犬小屋の中、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のエミー・ローズのピコピコハンマーなど、それはもういろいろあるだろう。古くは古代中国の「壺中天」の説話や、『西遊記』で如意棒を耳の後ろに隠す孫悟空なども、ハンマースペースの原型といえるかもしれない。


以下に続くように、このようなジョーク用語を巡っての実にくだらない分析記事があるのも、英語版Wikipedhiaの魅力である。

特性

ハンマースペースの性質については、それが巨大な容積を持った融通の効かない物体から成っているのであろうという推測に留まっていて、それ以上の多くは知られていない。明らかなことは、ハンマースペースの物理法則はきわめて奇妙なことである。たとえばこのような例において見ることができる。多くの『ファイナル・ファンタジー』の主役たちは99個のポーションと99個のハイ・ポーションを問題なく持つことができるのに、他にどんなアイテムを持っていようとも100個目のポーションを持つ空間を持っていないのである。


人がハンマースペースからアイテムを取り出すためには自分でそこに置かなければならないのか、それともハンマースペースの中にアイテムが入っていることを知っているだけでよいのかは、明らかでない。『らんま1/2』のキャラクター早乙女玄馬はパンダの形態のときに様々な文字板を出すが、それが示唆するのは後者の可能性である。しかしながら、彼はときどきとてつもないスピードで文字板を書いて出すのを見ることができるから、彼はあらかじめ予測して注意深く計画を立てた結果出しているのだという議論もありうる(注:だいたいわかると思うが、パンダの玄馬は文字板にマジックで書いているシーンもあれば、とっさのツッコミで文字板を出すシーンもある。ここからの推測を言っているのである)。

ハンマースペースのポケットやそれに類似した空間は、木とか、テントのひもとか、岩とかの小さくて横幅のない物体の後ろに存在しているので、アニメーションのキャラクターが自分よりずっと小さい物の後ろに物を隠すことができるのである。

この概念に関連する用語として、「Cartoon Physics」(英語日本語)がある。日本語版の記事の中には、この「ハンマースペース」の欄もあるので、比較参照してほしい。