知恩院の大鐘楼の裏手から、東山三十六峰の中に入ることができる。
「峰」というよりもほとんど丘であって、少し登ればすぐに山上にたどり着くことができるのだが。
中に入ると昼なお暗く、ヒグラシの鳴き声が聞こえてくる別天地である。
山道に、ヤブミョウガの群落があった。つやつやとした葉っぱをつけて、今は白い花の季節である。
近くで見て、それほどきれいな花ではない。しかし遠くから眺めてもそんなに風情のある風景でもない。そのような中途半端な草花なのだが、暑い夏の山道で、花の白さが目にちょっとうれしい。それで十分ではないか。