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肉じゃが

(カテゴリ:"C"級グルメ道

肉じゃがは、むしろ冷やして食べた方がうまい。玉ねぎの甘味、ジャガイモの歯ごたえ、そして肉の脂身のうまみ。酒と共にいただく、お惣菜となる。

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私は、じゃがいもをしょうゆで煮込んだ料理において、イモの中まで味が染み渡っていることを絶大的に評価する人間だ。だから私は夏休みの海の家なんかで出される、一日中煮つめて中までしょうゆ色になったおでんのじゃがいもに無情の愛を捧げる人間である。二つに割ったときに芯まで一様に色が着いていると、それだけでにっこりしてしまう。逆に出されたおでんや肉じゃがのイモを割ったらその中が真っ白(ちろ)かったりしたら、自分の中で料理としての格をぐっと下げてしまう性癖があるのだ。だから、私は長い間肉じゃがを美味い料理だと思ったことがなかった。世に出回っている肉じゃがは、あまりに短時間であっさり作りすぎているのが、その原因だ。表面的なのだ。表面があったかくてうまそうならば、それでおそうざいとしては十分だ。中身なんか、どうでもよい。、、、その「どうでもよい」という見切りによって作られた品々が、私の肉じゃがへの評価を下げていた。本当は、ちょっと半時間ほど手間をかければ、私としてGOODな料理になることに気付いたのは、ごく最近のことだ。下で記すように、丁寧に作った肉じゃがのイモは、中までしょうゆ色でないものの味はしっかりしみ渡っている。

だから、私は煮込んでも崩れないメークインを基本的に愛好する派だ。男爵は、私としては例外的に中身まで味が染みとおっていなくてもOKなカレーライスで、逆に愛好するにとどまっている。


(以下は、2人前の分量)

じゃがいも 中4個
玉ねぎ 小1個
にんじん 5cm
牛肉薄切り 80グラム
だし カップ2
酒 大さじ1、砂糖 大さじ1、しょうゆ 大さじ2、みりん 大さじ1
サラダ油 大さじ1





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肉じゃがにホクホクとした男爵いもを使うのか、形がかっちりと固まったメークインを使うのか。それは各人の好みだ。しかし、今回は冷やしてもおいしい肉じゃがを目指すために、歯ごたえのあるメークインを選びます。



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材料の下ごしらえ。こうやって並べると、カレーライスと全く同じ素材だ。じゃがいもは皮をむいて食べやすい大きさに切る。大きい玉ならば4つ切り、小さめの玉ならば2つまたは3つ切りが適当だろう。にんじんは5mm幅の輪切りに、玉ねぎはくし切りに。肉については、今回私は牛肉の薄切りを使いました。ただし温かい肉じゃがならば、豚肉を使っても味わいがあります。牛肉は5cm幅に切る。うまみを引き出すために、なるたけ脂身を多く使おう。


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まず牛肉から炒める。鍋を熱してサラダ油大さじ1を入れた後、いったん火から降ろしてぬれぶきんを敷いた上に置いて1分程度冷やす。その上に牛肉を入れて油をからめ、再び強火の上に置いて炒める。牛肉の薄切りは、こうしないと乾いてカチカチに固まってしまいます。


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肉の色が大体変わったら、にんじん、玉ねぎの順に入れて炒める。野菜に火が通ったら、じゃがいもを入れて油をからめる。じゃがいもはこの時点で火を通さなくても、いいです。



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だしをひたひたに入れて、沸(ふ)くまで強火で熱する。沸いたら弱火にして、ふたをしてまず5分間煮る。あくが出てくるので、時々すくう。



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再び強火にして、酒と砂糖を入れる。沸いてきたら再び弱火にして、ふたをしてさらに6分間煮る。



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再び強火にして、今度はしょうゆとみりんを入れる。沸いてきたら再び弱火にして、落しぶたをして20分間煮る。くどい味のしょうゆとみりんを後回しにして、少しずつ綺麗に仕上げるのだ。このように、丁寧に肉じゃがを作ろうと思えば、結構面倒くさい。



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というわけで、完成。このままでも、もちろんうまい。丁寧に煮込めば、メークインが噛んだ先からほろりと崩れて、中に味が染み渡っています。



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しかしお楽しみはこれからだというわけで、半分だけ取っておいて冷蔵庫に入れる。



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牛肉の脂身のうまみ、玉ねぎの甘味、メークインの歯ごたえが、酒の肴にも丁度良い。