自然というものは、不思議な風味をいろいろと作り出すものだ。中でもニンニクとトウガラシは今や世界中で愛好されている、自然が作った最大のヒット作であろう。もしこの二つの野菜が存在しなかったら、我々の食生活はずいぶん貧相なものになってしまうはずだ。韓国料理などは、ほとんど何も残らないといってもよい。トウガラシの辛さの源はアルカロイドの一種であるカプサイシンであるが、ニンニクの臭気はユリ科植物(ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニクなど)が体内に貯える各種の硫黄化合物の成せるわざである。アルカロイドも硫黄化合物も、おそらく本来は虫や動物に食べられるのを防ぐために貯えられているのであろう(ところがカプサイシンは鳥類に無効なので、鳥はトウガラシを食べることができる。そうして糞に種を混じらせて伝播繁殖するという)。それが目ざとい人間の手に落ちて、飼い慣らされて多食されているのである。生物が防衛のために作った刺激物までもが、人間の食生活を豊かにする素材となってしまう。なんと人間は業が深い万物の霊長なのであろうか。
(以下は、1人前の分量)
にんにくの茎 10本 | |
にんじん 7cm | |
豚もも肉ブロック 50g 《下味》塩・こしょう少々、酒大さじ1/2、かたくり粉小さじ2、油大さじ1/2 | |
にんにく 1かけ、しょうが 1かけ、ねぎ 1本 | |
《調味料》しょうゆ 大さじ1、酒 大さじ1、酢 大さじ2/3、砂糖 大さじ1、こしょう 少々、中華だしの素 1振り、水 大さじ1 | |
水溶きかたくり粉 大さじ1(水とかたくり粉を等量) | |
サラダ油 |
にんにく、しょうが、ねぎをみじん切りにして、調味料と混ぜ合わせておく。
豚肉は細切りにして、下味を順々にからめていく。最後に油をまぶせば、鍋にくっつきにくくなる。にんじんも細切りに。にんにくの茎は、にんじんと同じ長さに切り揃える。
鍋を煙が出るまで熱して油大さじ1を入れ、まず豚肉を入れて炒める。豚肉の色が変わったら、野菜を入れてさらに炒める。野菜にも火が通ったら、取り出す。
再び鍋を熱して油大さじ1を入れ、豆板醤を入れてよく火を通す。豆板醤がペースト状から変わって油に浮くまで炒まったら、肉と野菜を入れる。さらに調味料を入れて、かきまわして1分弱炒める。最後に、水溶きかたくり粉を入れてまとめる。
にんにくたっぷりの料理だから、状況をわきまえて食べよう。