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柿の実 - 白川橋

(カテゴリ:半徑半里圖會

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柿の実ほどに、日本の「本来の」風景のあり方を思い起こさせる果物はない。「本来の」をかっこでくくったのは、昔から今まで様々なメディアを通して蓄積されてきたお決まりのイメージとして、秋晴れの農村にひなびた柿の木が実をたわわに生らせている風景ががっちりと形作られていて、それがお約束として私たちの季節への想像力を逆にしばっているかもしれないことを言いたいからである。だがなるほど、こうして見ると秋晴れの午後に柿の実はたいそう絵になる。木から重く垂れ下がった柿の実が、下を流れる白川に今にも洗われそうになっていた。

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私は正直言って、柿の実をあまり美味しいと思わない。香気に乏しく、甘さも酸味がなくて爽やかさを得られない。いにしえの平城京の通りには柿の木が植えられていて、往来するひもじい旅行者に自由に取って食べることを許したという。甘いものなど他に全然ない時代だからこそ珍重されたが、現代ではリンゴ、ナシ、モモ、グレープフルーツといったより香り高くよりジューシーな果物にはとうていかなわなくなった。秋になればこんなにも沢山実を生らせる木なのだから、もっと何か上手な利用方法が考案されないものだろうか?

とはいえ、見て喜ばしい気持ちにさせる、観賞のためには素晴らしい秋の果実ではある。