中華料理のジャンルに「素食」というものがある。台湾料理で特にバリエーションが多い。日本では「精進料理」と訳されるとおり、仏教の信仰上で肉を食べない人々のために発達した料理である。そのため、肉や魚の形を植物由来の食品で成型した代用品が売られている。たとえば魚の形に作った「素魚」、鶏肉の形に作った「素雞」、ソーセージの形に作った「素香腸」などである。「素食」といってもなかなかに工夫されていて、一流の料理は決して粗末なものではない。代用とする植物性食品には大根やコンニャク、あるいは穀物の粉などがあるが、いちばん活躍するのはやはり豆腐である。豆腐はタンパク質も豊富で、肉の代用品にはうってつけなのだ。
(ハンバーグ8個分)
木綿豆腐 1丁 |
玉ねぎ 大1/2個 |
にんじん 1/3本 |
鶏ひき肉 50グラム | 青ねぎ 1本 |
卵 1個 |
パン粉 カップ1/2、しょうが 1かけ、しょうゆ 大さじ1、ごま油 少々 |
《ソース(1人分)》 しめじ 適量、水 カップ2/3、しょうゆ・みりん・酒 各大さじ2、水溶きかたくり粉(等量の水とかたくり粉) 大さじ1 |
玉ねぎ・にんじん・青ねぎはみじん切りに。しめじは1本1本ばらす。
木綿豆腐はふきんにくるんで重しを置いて、水を切る。重しはやかんに水を入れて乗せればよい。最低1時間程度置いて、写真のように極力水を抜き取る。水が残っていると、後で形に成型できません。
少量の油をひいて、玉ねぎとにんじんを色が変わるまでよく炒める。
さらにもう一度油をひいて、鶏のひき肉も色が変わるまで炒める。鶏肉は豆腐と相性がよい。ちょうど余っていたので入れたが、「素食」料理を目指すのならば入れなくてもいい。
ボウルに豆腐、玉ねぎ、にんじん、鶏肉、卵、青ねぎ、パン粉を入れる。そこにしょうがをすりおろして、しょうゆとごま油をまぶす。これでハンバーグの材料は揃った。
豆腐を角が見えなくなるまで細かくつぶしながら、混ぜる。しっかり水が切られているならば、豆腐の角が見えなくなるまでつぶすのはちょっと一苦労だ。だがもしミキサーがあるならば、それで豆腐をつぶせば楽々できるでしょう。もし水切りが足りなくてゆるゆるの場合には、パン粉・小麦粉・かたくり粉のいずれかを加えて粘りを出す。
成型された8個分。今日は、そのうち4個を焼きます。
鍋をよく熱して油大さじ1を入れ、ハンバーグを焼く。両面にしっかり焼き目が入ればそれでOK。
別の鍋で、ソースを作る。水・しょうゆ・みりん・酒を混ぜた中にしめじを好きなだけ入れて、沸騰させる。沸騰したら水溶き片栗粉を入れて整え、ハンバーグにかける。
淡白な鶏肉ときのこは、特に豆腐と相性がよい。しめじの他にしいたけを使ってもよい。