彼岸を過ぎれば、夜の風は冷たくすらなってきた。今年は秋の深まりがいつもよりぐっと早い。
彼岸参りの参拝者でにぎわう東大谷(大谷別院)の境内には、季節どおりに彼岸花が生え出ていた。
この花、不思議なことに葉が出る前に花を咲かせ、花が散ってから葉を出す。日本にはいつの時代からあったのかわからないほど昔から住み着いてたはずの花であるが、「幽霊花」などと呼ばれて古来から大して観賞の対象にされてこなかった。ひょろりと立った茎に着いた真っ赤な花の姿が何だか血まみれのさらし首みたいに見えて、不吉だからであろうか。それともここのように、墓地のそばに咲くような荒地を好む習性ゆえであろうか。