餃子について書くことは、あまりにも多い。餃子は清代の秤量銀貨である馬蹄銀(マーティーイン)と形が似ているため縁起物として正月に食べられるようになったとか、焼餃子は日本発の食べ方であって本式は蒸餃子や水餃子であるとか、「ギョーザ」という読みは山東省の方言であって標準の漢語では「ジャオジー」だとか。何にせよ、焼餃子は麻婆豆腐と並んで今や本場以上に日本で偏愛されるようになった中華料理である。
ラーメンにはこれまでまずい店に幾度となく行き当たったことがあるが、焼餃子については不思議なことに印象に残るほどまずいものを出された店に出くわしたことがない。大してうまくないと思った店は、それはもう沢山あったが。ラーメンと違って一品で食事が完結することを期待せず、定食の一部とかビールと共にいただくことを前提としているから、私の許容範囲の敷居が低いからなのであろうか。逆に私が一番うまいと思った餃子は、前にも述べた大阪阿部野橋の『珉珉』の焼餃子。シンプルな肉餃子だが、底の薄皮がカリカリに焼けてしかも並べた餃子どうしが互いに焼けた薄皮でつながっている。そのクリスピーな味わいが素晴らしい。これを二人前とビール一本を注文すれば、小食の私の一晩はそれで十分だ。
(以下は、30個分の分量)
豚ひき肉 200g |
キャベツ 大4枚 |
干ししいたけ 戻した状態で大さじ1 |
青ねぎ 1本 |
にら 5~6わ |
卵 1個 |
ごま油 小さじ1 |
《調味料》しょうゆ 大さじ1、砂糖 大さじ1、塩 小さじ1/4、こしょう 少々、かたくり粉 小さじ1 |
にんにく 2かけ |
市販の餃子の皮 30枚 |
塩、ごま油、油、しょうゆ、酢 |
キャベツをみじん切りにしてボールに入れ、塩少々をもみこんで10分ほど置く。その後キャベツから出てくる水をしぼって除く。キャベツの代わりに白菜を使うこともできるが、その場合はよくゆでた後みじん切りにして、水気をしぼる。
ひき肉をボールに入れて、調味料をよく混ぜ込む。
その上に卵、ごま油、野菜類(キャベツ・青ねぎ・干ししいたけ・にら)の順に入れて、よく混ぜる。混ぜた後30分ほど冷蔵庫に寝かせておけば、肉がよくまとまる。
にんにくはすりおろして入れる方法もあるが、分けて入れたほうがマイルドな味わいになる。にんにくを粒ごとゆでて、薄くスライスして使う。もちろん入れなくてもかまわない。
餃子を包む。皮の周囲を水でぬらして、肉とにんにくを置く。焼売と違って、一個分の肉は控えめにこのぐらいの量にしておこう。
端からつまんで折り目を付けながら、たたんでいく。よく皮を水でぬらしておかないと、くっつきません。
さて、焼こう。鍋を熱してごく少量の油をひき、餃子を並べる。だがここで焼き目をつけるのが目的ではない。
並べたら、すぐに熱湯を注ぎ込む!水ではない。熱湯を使うことによって、肉が一気にしまって美味くなります。湯の量は、餃子が半分ひたる程度。ふたをして約3分間、湯がなくなるまで蒸し焼きにする。
湯がなくなった時点でごま油大さじ半分程度を鍋のへりから回し注ぎ、しばらく焼く。焼き目はここでつけるのだ。ちりちりと焼きあがったら、できあがり。
つけだれは専用のものも市販されているが、最もシンプルなのは酢としょうゆを等量混ぜたもの。ラー油や豆板醤を足してもいい。
中華の本式流に、ゆがいて食べてもいい。だがその場合には、専用の濃厚なつけだれのほうがいいな。