かぶも大根と同じく、西洋から中国を通じて日本に入ってきた野菜だ。日本に導入されたのは、大根同様大変古い。和名では古くは「すずな」と言い、近世に入って「かぶらな」または「かぶな」と言われるようになった。この言葉からも分かるように、かぶは昔から根と共に葉や茎の菜っぱの部分も積極的に食べられていた。今でも京都名産の「酢茎」は、かぶの一種のスグキナの根と菜っ葉の両方を漬物にしている。かぶは根も菜っぱも美味な、効率の良い野菜である。
『今昔物語集』本朝世俗部には、かぶにまつわるちょっとエロチックな説話が収録されている。京の人で、東国に下向する者がいた。ところが道中のとある里を通ったときに、にわかに邪欲をもよおしてしまい、心が騒いでしようがなくなってしまった。大路の道端の垣のむこうに、かぶが根を大きく育てて作られていた。男は馬を下りて垣根を乗り越え、かぶの根を一本掘り出し、そしてその真っ白な根の中に孔をば開け、、、、、何年か後、男は役目を終えて、再び京に上る最中に同じところを通った。するとその畑の家の娘が、自分そっくりの男の子を産んでいたではないか!聞くところによれば、男が通った後にかぶを収穫したが、一本掘り返されて穴が開けられているものがあった。だが特に気にせずに、その家の娘がそれを食べてしまった。すると娘は男と通じたわけでもないのに子を孕んでしまい、家の者は悲嘆するやらあきれるやらで、仕様がないから産まれた男の子を今まで育てていたのだという、、、それを聞いて男は「こんな因果もあるものだなあ!」と感嘆して、賤しい生まれの娘ではあったが、ついにこの娘を妻となして産まれた子と共に当地にて暮らすこととなったという、、、(巻第二十六、第二)
いかにも考え付きそうなエロ話であるが、大根やかぶの白い根っこを性的なイメージと結びつけることは、日本の習俗ではよく見られることだ。しかし白い肌に性的なイメージを割り振る文化は、普遍的ではないのかもしれない。英語版Wikipediaの"Evil albino"に書かれている内容によると、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の中で綾波レイが魅力的な女の子として登場人物たちからみなされている点に言及がなされて、「綾波レイのキャラクターもまた、西洋と日本のアルビノ(白子)に対する態度の違いを明らかにする例となっている」とコメントされている。すなわち西洋では"Evil albino"(邪悪なアルビノ)という言葉があるように、肌が真っ白くて髪や目の色が薄いキャラクターは悪漢のステレオタイプに入るのである。それが日本のアニメでは、西洋人にとってアルビノと受け止められる肌の白いキャラクターが、魅力的な人物として描かれている。そこに多少の違和感が感じられているのかもしれない。両者の感覚の差がどこから出ているのかを特定することなど私にはできないが、一つ思うことは、西洋では肌が真っ白(というよりも青白いと表現すべき顔色)で、髪も目の色も薄い人間が、実際にかなり存在している。ゆえにアルビノは現実的なキャラなのだ。ところが日本人には本当に肌が真っ白で、その上髪も目の色も薄い人間など、まず見かけることがない。ゆえに(現実にはいない)アニメの中のお約束として、白い肌のキャラを受け取っている。そこに違いがあるのかもしれない。
(以下は、1人前の分量)
小かぶ 2個 |
鶏もも肉 100g |
《調味料》だし カップ1、しょうゆ 大さじ1、酒 大さじ2、砂糖 小さじ1 |
しょうが 1かけ |
水溶きかたくり粉(水とかたくり粉を等量) 大さじ1 |
油 |
白くて小さな小かぶ。葉っぱは煮物にしてもいいし、炒め物にしてもいいだろう。今回は大根めしの時の要領で、サッとゆがいて切り刻んで菜めしにすることにした。
茎の部分を少し残して二つに切り、皮をむく。皮をむいたら、さらに八つ切りに。
鶏肉は皮ごと小さめのぶつ切りに。しょうがはすりおろす。
油ごく少々を入れて熱し、鶏肉を入れて火を通して、取り出す。余分な油は取り除く。
改めて鍋に調味料、肉とかぶを入れて、上からおろしたしょうがのしぼり汁をふりかける。ふたをして、弱火で約10分。
水溶きかたくり粉を回し入れて、まとめて完成。
かぶは大根よりも甘味が強い。何せ別種にビート(砂糖大根)があるぐらいだから。