朝鮮日報(チョソンイルボ、조선일보)への投書を、以下に公開する。
朝鮮日報は、東亜日報、中央日報と並ぶ、韓国三大紙の一である。
各紙を比較検討しながら同時に投書を送りつけるのは、先方への侮辱となる。ゆえに、今は一社だけに絞って、投書した。
どうして朝鮮日報を選んだのかの理由は、ただ一つ。
三紙ともに、オンラインの日本語版がある。
朝鮮日報の訳が、最も本当の日本語を用いている。他二紙は、残念ながらわずかに日本語がおかしい。他二紙とも記事の意味は読み取れるのであるが、文脈にふさわしい語彙の用い方や、ひらがなで表記するべき用語か漢字で表記するべき用語かの「呼吸」とも言えるニュアンスが、日本語から多少離れている。
日本人の書いたものの趣意を、誤解することなく完全に読解している新聞社は、よって朝鮮日報であろうと、判断した。
日本語版Wikipediaなどには各紙の主張・傾向などが印象批評されているが、はっきり言って聞く耳持たない。
先進国の大新聞ならば、一方的に偏った記事が、書けるわけがない。右か左か保守か革新かなどの傾向は、程度の差にすぎない。朝鮮日報は聞くところによると保守系らしいが、保守主義者だから他人の意見を聞かないなどと決め付けるのは、どこかの左翼小児病者だけである。
よって、私や、他の日本人が書いた日本語をもっとも正しく解読できるであろうという印象を受けた、朝鮮日報に今回投書することとした。
日本語は、極めて難しい言葉なのである。まず日本語の文書や書物は、海外で誤解されていると、思ったほうがよい。
P.S.
残念ながら下のメールは、受信されなかった。
日本語版でだめ、英語版を経由しても、だめであった。
スパムメール対策でも、しているのであろうか。だったら、サイトに明記するべきである。
残念ながら、当社は日本人の意見を(そして、外国人の意見を)積極的に聞こうとしていない姿勢であると、見受けられる。よって、他二紙に投稿する。
前略。
私は、一介の日本人です。
貴社におかれましては、充実したオンライン日本語版を置かれ、その日本語もこなれて表現が適正であると判断いたしますので、日本語で投書をさせていただきます。もしこの投書の日本語で不明な箇所がございましたら、私にお問い合わせいただければ、日本語ないし英語にて、ご返答申し上げます。ただし、私は韓国語がほとんどできませんので、韓国語でのお問い合わせにお答えすることは、残念ながらできかねます。ご了承のほどを。
かつて貴社の論説委員であられた鮮于煇先生のご業績は、無学な私ながらもわずかに聞き知っているところでございます。彼の小説につきましても、ほんのわずかですが、日本語訳にて読んだところです。日本の小説にはない、人と人のぶつかり合う葛藤の姿が描かれていて、爽快な読後でした。
貴社が韓国新聞界のリーダー格であると存じまして、一日本人として思うところを、投書させていただきます。
私は、今年2月15日から同月22日までの一週間、韓国慶尚南北道を旅行しました。
私は、韓国旅行は初めてでした。他に海外には、学生時代であった十五年前にイギリス・フランス・オランダ。2000年代に入ってから、香港と台湾。今回の韓国旅行は、私にとって四度目の海外旅行でした。
旅行の印象は、強烈なものでした。
私は、驚愕いたしました。
韓国の街と山河は、日本並みに、いや日本以上に清潔でした。
どんな田舎の道路にも、ほとんどゴミが落ちていません。
日本では当たり前である、路上駐車や路上駐輪についても、大都市である釜山でほとんど見かけません。
私は、日本列島を一歩踏み出したならば、残念ながら公道徳はアジアで期待できないと思っていたので、韓国人が世界にもまれに見る水準の公道徳を備えていることに驚愕し、そして感動いたしました。
そして、食い物がうまい。
どんな無名の店に飛び込みで入っても、うまい。
その上、円高ウォン安のおかげで、涙が出るほど安い。
私は、釜山のチャガルチならば、たとえ一年間ずっと滞在し続けても、食い物に不満を感じません。そのぐらい、日本人である私の舌にとって、外れがありません。(ただし、酒だけは別です。私は日本のサケが大好きで、韓国の焼酒〈ソジュ〉や清酒〈チョンジュ〉では、物足りない。)
私は、かつて中華料理の花咲く街であるはずの香港と台北に行って、いくつもの外れに出会いました。一口も食することができなかなった料理も、いくつかありました。それで日本の外を出たら、日本人にとってうまい食い物は存在しないに違いない、と悲しんでいました。だが韓国の食い物は、そんな私の悲しみを吹き飛ばしてくれる、美味さに溢れていました。
私は、旅行中に悟りました。
-韓国人は、料理の中に「ウマミ」が入ってないと、それを料理と見なさない舌を持っている。それが、日本人と共通しているに、違いない。
だてに、みそ〈テンジャン〉としょうゆ〈チョソンガンジャン〉を愛好しているわけでは、ありません。海産物を多く摂取し、刺身〈フェ〉を常食しているわけでは、ありません。
そして、人情が厚い。
私は、日本語が話せます。英語は、下手なりに通じさせることができます。韓国語は、ほとんど話せません。
釜山市内では、日本語が通じる場合が、時々あります。日本語が通じなくても、英語ならば通じる場合も、時々あります。田舎に行くと、両方ともほとんど通じません。
しかし、そのように言葉に難儀するこの旅行者に対して、韓国の人々は、人助けを当たり前のようにやってくれました。私は一週間の旅行中、不快な思いを韓国の人々から受けたことは、一度もありませんでした。日本人は、旅行者にここまでやってくれません。私は韓国人の人情に触れて、自民族の薄情さがかえって恥ずかしくなりました。
私は、旅行中から書き始め、旅行後に集中して、自分の旅行記を書き上げました。
以下の私のブログが、そうです。
http://suzumoto.s217.xrea.com/005
現在、私は一つの夢を描いています。
日本国と大韓民国が、対等に連合して、EUのような統一市場を作り上げる、夢です。
私は、両国の民度と経済水準であるならば、それが明日にでも可能であると、現在確信を持っています。両国の人口は、併せて一億八千万人。将来もし北を含めれば、二億となります。ドイツ・イギリス・フランスのEU三大国を併せた人口に匹敵する、大経済圏です。
私は、現在山積している両国の政治・経済問題を解決する妙薬は、これではないかと思うのです。
もとより、政治の壁があります。
両国の過去には、忌まわしい負の記憶があります。
ですが、私は二十一世紀の東北アジアの将来のために、両国が別民族としてそれぞれの個性を堅持したままで、併合とか屈従とかいったことなしに、対等の経済連合を作ることができるのではないかと、現在思っているのです。そのためには、日本は過去の歴史のいっさいを韓国に対して深く謝罪するべきであると、考えています。行き詰まって将来が見えない、日本の政治と経済を救うためです。
経済同盟は、両国にとって計り知れない恩恵を、もたらすことでしょう。数値的な試算をはるかに越えたメリットが、両国に必ずあります。そして、周辺諸国を考慮に入れて上手に設計すれば、東北アジアの安全保障に決定的な好結果を、きっともたらすはずです。その大筋は、私のブログの旅行記中に書いております。
http://suzumoto.s217.xrea.com/2009/02/korea20090221_7.html
私の夢は、日本国内だけで主張したところで、何も実現できません。日本と韓国が等しく同意しなければ、ただ画餅に帰すだけです。
貴社に投稿申し上げたのは、そのためです。私の夢は、愚かな夢想です。しかし、たとえ愚かな夢想であっても、そのまま心中に留め置いたところで、現実は何も動きません。それで、韓国最大の新聞社である貴社の門を、叩かせていただきました。現在の私は韓国に、何の繋がりも持ち合わせていないからです。
ご意見をお聞かせいただくもよし、一笑に付すもよし。全ては、天の命ずるままです。
長々と、失礼いたしました。
草々