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『世界共和国へ』柄谷行人

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「未開社会のシステムは、国家への移行を拒むために作り出されたものだとみるべきでしょう。、、、それは交換様式A、つまり互酬の原理を純粋に貫徹することです。」(p42)

「国家は、そもそも他の国家(敵国)を想定することなしに考えることはできません。国家の自立性、つまり、国家を共同体や社会に還元できない理由は底にあります。」(p51)

「ここから見ると、普遍宗教が存在した位相が見えます。最初に述べたように、それは第三象限(C)の都市空間に出現し、かつ、そこから、第四象限の空間を開示(預言)したものです。」(p94)

孔子は、ウェーバーのいう「模範的預言者」である。それは都市国家において発生し、国を越えた倫理として中国文明圏に広がっていった。

「普遍宗教がもたらしたのは、自由の互酬性(相互性)という倫理的概念です。」(p102)

国家への一方的な服従を退け、朋友間の横のつながりを重んじる倫理は、農村共同体の中で互酬関係が自明であった状態が崩れて、都市に集い実力で朝廷に召抱えられようとした階層が群がり出てきた時代に、孔子学校において現れた。