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『ハーバーマス』中岡成文(つづき)

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1960年代欧米の反資本主義学生運動は、全て失敗に終わった。
しかし唯一成功した革命があった。アヤトラ・ホメイニによるイランイスラム革命である。
また、1990年代のアンチ・グローバリズム運動は、今のところ資本-国家-ネーションに何の脅威ももたらしていない。
しかしこのボロメオの輪にそれなりの脅威を与えたアンチグローバリズム運動がある。アルカイダである。
学生運動も、アンチグローバリズムも、中東で成功した運動については沈黙し、無視を決め込んでいる。だが、それらは同じ資本主義への憤りを根にしていて、実現した行動形式が違うにすぎない。

○コミュニケーションの理論

1 客観的世界 真理性の妥当要求 これは、事実であるか?
2 社会的世界 正統性の妥当要求 これは、人として許されるか?
3 個人の内部世界 誠実性の妥当要求 これは、あなたの真意で言っているのか?

3は、最も難しい。
というよりも、現代で完全に求めることは、酷なのではなかろうか?

1 認知的・道具的な合理性
2 道徳的に実践的な合理性
3 美的に実践的な合理性

戦後ドイツには伝統の価値を重視する、保守主義の系統が綿々とある。ガダマーが最も著名であるが、日本ではほとんど知られていない。ヨアヒム・リッターやレオ・シュトラウスの「新アリストテレス派」は80年代にハーバーマスと論争した。