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『トランスクリティーク』柄谷行人(つづき2)

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「われわれが先取りすることができないような他者とは、未来の他者である。」(p143)

思想は、未来の、現在の前提が崩れた後の時代においてまで、射程を捉えておかなければ思想ではない。ゆえに縦横家は、思想ではない。

「運命愛とは、カントでいえば、諸原因(自然)に規定された運命を、それが自由な(自己原因的)なものであるかのように受け入れるということにほかならない。」(p177)

朱子のいう「天命」と仁斎のいう「天命」の違い。前者は、事物の客観法則としてあり、人間は主体的に、間違うことなく、それを辿るべきである。後者は、個々人の選択の上にある超越的な何ものかであり、甘んじて受け入れて怨まない運命である。